【深層考察・入門編】

【深層考察・入門編】茨城の低山おすすめ5座 ― 神域・日立アルプス・修験・百名山・県最高峰。標高で辿る五つの「登山の入り口」

北村 智明

茨城の山といえば筑波山を思い浮かべる人が多いだろう。しかし県内には、古代の神域から日立アルプス、修験の霊山、そして県最高峰まで、標高500〜1,000m級の個性的な低山が揃っている。本記事では5座を標高順に取り上げ、基本技術と下山後の楽しみを含めて「最初の一山」の選び方を解説する。

ⓘ 記事情報
難易度:初級(入門編)
対象:登山歴1年未満、茨城県で初めて登山を検討する人
記事タイプ:技術解説系
キーワード:茨城 低山 初心者、御岩山、高鈴山、加波山、筑波山 白雲橋コース、八溝山
関連記事:宮城の低山おすすめ5座/福島の低山おすすめ5座

なぜ茨城の低山なのか

茨城県の最高峰は、県北西部にそびえる八溝山の1,022mである。三千メートル級の稜線を持たない県だが、登山の入り口を探す人にとって、これはむしろ利点と言える。標高差が小さく、日帰りで完結し、首都圏から車で訪れやすい山が多いからだ。

もっとも、「低山だから安全」と考えるのは早計である。標高500〜1,000m級の山でも、岩場、急登、落ち葉に覆われた下山路、日没の早さといった要素は、登山者の体力と判断力を試す。こうした基本を学ぶ舞台として、県内の山は適していると考えられる。

茨城の山は、大きく三つのエリアに分けられる。県北の多賀山地(御岩山・高鈴山)、県西の筑波山地(加波山・筑波山)、そして福島・栃木との県境に広がる八溝山地(八溝山)である。いずれも古くから信仰の対象となり、『常陸国風土記』や『万葉集』にも名を残す山々だ。自然だけでなく、歴史や信仰の跡をたどる楽しさがあることも、茨城の低山の魅力だろう。

季節による表情の違いも、低山の醍醐味である。春の新緑、初夏の山野草、秋の紅葉、そして落葉後に見通しのよくなる冬枯れの尾根。標高が低いため、冬でも歩ける山が多い。ただし八溝山のように標高1,000mを超えると、3月中旬ごろまで積雪が残ることがあり、季節ごとに装備と計画を見直す必要がある。

宮城や福島の低山とは異なり、茨城の山は首都圏から日帰りで通える距離にある。そのぶん週末は混雑しやすく、駐車場や下山後の入浴施設の混み具合も計画の一部として考えておきたい。

本記事では5座を標高の低い順に紹介する。この順番は「歩きやすさ」とは必ずしも一致しない。各山の評価表を参考に、自分の経験に合った一座を選んでほしい。

低山登山の基本を知る

計画と情報収集

登山計画書(登山届)は、入山前に作成し、家族や知人に共有しておくことが望ましい。ヤマップやヤマレコといったアプリを使えば、オンラインでの提出と位置情報の共有ができる。コースタイムは、地図やガイドブックの数値に休憩時間を加え、1.3〜1.5倍で見積もっておくと余裕が生まれる。

日没時刻の確認も欠かせない。秋から冬にかけては、午後4時台に日が傾き始める。里山は下山後の林道や舗装路が長く、暗くなってからの行動は難しい。山頂への到着は、遅くとも正午ごろを目安としたい。御岩神社や筑波山は週末に駐車場が混み合うため、早朝の到着が基本となる。公共交通を使う場合は、バスの本数が少ない点にも注意が必要だ。なお、飲食店は定休日や営業時間が変わりやすいため、訪問前の確認を勧める。

情報収集では、天気予報だけでなく、登山口周辺の通行止めや登山道の状況も確認したい。市町村や観光協会の公式サイトには、台風や大雨後の通行規制が掲載されることがある。山の天気は、麓よりも風が強く、気温が低くなる傾向がある。標高が100m上がるごとに、気温はおよそ0.6度下がるとされる。麓で快適に感じる気温でも、山頂では肌寒く感じることがあるため、季節を問わず一枚多く持つ余裕が望ましい。

服装と装備の基本

低山であっても、足元はトレッキングシューズかブーツを選びたい。落ち葉の斜面や濡れた岩では、スニーカーは滑りやすい。入門者の選択肢として挙げやすいのが、履きやすさ・安心感重視のキャラバン C1_02S(税込15,000円前後)だ。足首を保護する構造で、価格と性能のバランスに優れる。

服装は、綿を避けて吸汗速乾性のあるウェアを重ね着するのが基本である。ベースレイヤー、フリースなどの中間着、そして上下セパレートのレインウェアを持つ。ザックは20〜30L程度、水は1L以上、ほかに行動食、ヘッドランプ、地図(またはアプリ)、モバイルバッテリーを携行する。岩場や急登の多い山では、ストックが膝への負担を軽減してくれる。

冬季は、これに手袋、帽子、保温用の中間着を加える。晩秋や早春の稜線では、汗をかいたあとに体が冷えやすい。休憩のたびに一枚羽織るだけで、体力の消耗はかなり抑えられる。

行動中の注意点

最初の30分は、会話ができる程度のゆっくりしたペースを保つ。休憩は1時間に5〜10分を目安に、早めの水分補給と行動食を心がけたい。落ち葉の積もる斜面は、足を置く位置が見えにくく滑りやすい。特に下りでは歩幅を小さくし、重心を低く保つとよい。

岩場では、両手両足のうち三点で体を支える意識が大切になる。夏から秋にかけてはスズメバチ、春から秋にはマダニにも注意が必要だ。長袖長ズボンを基本とし、下山後は衣服や体を確認しておきたい。分岐では必ず地図で現在地を確認し、予定より1時間以上遅れた場合や天候が崩れた場合は、引き返す判断を優先したい。

低山では、道が整備されているぶん油断が生まれやすい。遭難の多くは、道迷いと転倒、そして日没後の行動に起因するとされる。舗装路や林道が登山道と交差する山も多く、うっかり別の道へ入り込む例は珍しくない。写真を撮るときや休憩のあとに、進行方向を改めて確認する習慣をつけておきたい。

茨城おすすめ5座の紹介(標高順)

① 御岩山(おいわやま)― 古代から続く神域を歩く

基本データ
標高:約530m(御岩神社からの標高差 約210m)
コースタイム:往復 約1時間30分〜2時間(参拝時間を除く)
おすすめ登山口:御岩神社駐車場(混雑時は向陽台駐車場)
アクセス:常磐自動車道 日立南太田ICより車で約20分、または日立中央スマートIC(日立中央PA)より下道で約15分
ベストシーズン:通年(夏は暑さに注意)

総合評価
歩きやすさ:★★★★☆
眺望・景観:★★☆☆☆
歴史・文化:★★★★★
アクセス:★★★☆☆
下山後の楽しみ:★★★☆☆

日立市にある御岩山は、御岩神社の背後にそびえる信仰の山である。山頂は賀毗礼(かびれ)の高峰と呼ばれ、『常陸国風土記』にもその名が記されているという。御岩神社には、古代から多くの神々が祀られていると伝わり、参拝を兼ねた山歩きが楽しめる。

コースは、神社の参道から始まる。杉の巨木に囲まれた境内を抜けると、御神木の三本杉がある。ここから山頂までは、案内表示で約60分とされる。登りの標高差は約210mと小さく、道も明瞭だ。ただし後半には岩混じりの急な区間がある。山頂付近は聖域であり、静かに歩く心構えが求められる。山頂からは木々の間に、高原山や日光連山方面を望める場合がある。

参拝の作法として、山に入る前に拝殿で手を合わせ、下山後にも立ち寄る登山者は多い。道中には祠や石碑が見られ、一つひとつを眺めながら歩くと、単なる運動とは違った山歩きの味わいが得られる。登山と参拝を組み合わせたい入門者にとって、距離も標高差も手頃な、理想的な一座と言えるだろう。

✅ ポイント:山頂付近は御神域のため、参拝のマナーを守りたい。駐車場は週末に満車となることが多く、早朝の到着が望ましい。

♨️ 下山後:日立市内には、海を望む露天風呂のある湯楽の里 日立店や、鵜の岬温泉の鵜来来の湯などの日帰り入浴施設がある。食事は、登山口近くの蕎麦処「入四間」が定番で、かき揚げ蕎麦が名物だ。混み合うため、早めの来店が望ましい。海鮮の定食なら「お食事処 嶝亭」もある。

② 高鈴山(たかすずやま)― 日立アルプスの盟主へ

基本データ
標高:623m
コースタイム:御岩山から約20〜25分(御岩神社から御岩山経由で片道 約1時間30分)
おすすめ登山口:御岩神社駐車場、または本山トンネル付近の駐車場
アクセス:常磐自動車道 日立南太田ICより車で約20分、または日立中央スマートIC(日立中央PA)より下道で約15分
ベストシーズン:秋〜春(落葉期は見通しが良い)

総合評価
歩きやすさ:★★★★☆
眺望・景観:★★★☆☆
歴史・文化:★★★☆☆
アクセス:★★★☆☆
下山後の楽しみ:★★★★☆

高鈴山は、日立市の多賀山地にある標高623mの山である。御岩山、神峰山とともに「日立アルプス」と呼ばれる尾根の中心に位置し、茨城の低山歩きの入り口としてよく知られる。

御岩山から高鈴山への道は、小さなピークに巻き道が整備され、全体になだらかだ。ほぼ20分強の尾根歩きで、山頂に着く。山頂には雨量レーダーの施設があり、視界のよい日には日光白根山や皇海山を遠望できる。ここから神峰山へ縦走を延ばせば、太平洋や日立の街を見下ろすことができ、歩ける距離と体力に応じて行程を伸縮できるのが、この山の利点だ。御岩山とあわせて計画する人が多い。

初めて縦走を体験する山としても適している。まずは御岩山と高鈴山の往復で尾根歩きに慣れ、余力があれば神峰山へ延ばすという段階的な組み立てができる。落葉後は木々の間から展望が開けるため、晩秋から早春にかけての時期が特に歩きやすい。一方で夏は日差しを遮る場所が少なく、水分の消費が早い。気温の高い時期は、水を多めに持ちたい。

✅ ポイント:御岩山との縦走が基本。車の場合は、どこに停めてどこへ戻るかを事前に決めておきたい。縦走を延ばす際は、神峰山からの下山路と時刻を確認しておくこと。

♨️ 下山後:日立駅周辺には、ホリゾンかみねなど手頃な入浴施設がある。海沿いの鵜の岬温泉まで足を延ばすのも一案だ。食事は、日立市街の寿司店「鮨政」のほか、道の駅 日立おさかなセンターの「久慈浜みなと寿司」や「海鮮茶屋 濱膳」で、常磐ものの海鮮を味わえる。

③ 加波山(かばさん)― 修験の気配が残る霊山

基本データ
標高:709m
コースタイム:周回 約4時間45分(休憩含む、三合目駐車場から)
おすすめ登山口:三合目駐車場
アクセス:常磐自動車道 桜川筑西ICより車で約30〜35分(三合目駐車場まで)
ベストシーズン:秋〜春(夏は虫と暑さに注意)

総合評価
歩きやすさ:★★☆☆☆
眺望・景観:★★★☆☆
歴史・文化:★★★★★
アクセス:★★★☆☆
下山後の楽しみ:★★★☆☆

桜川市と笠間市にまたがる加波山は、筑波山と並ぶ山岳信仰の山であり、修験者の修行の場だった。山中には三枝祇神社の親宮拝殿、山頂の加波山神社本宮など、多くの社や祠が点在する。たばこ神社という珍しい社もあり、多くの神々が祀られる霊場とされる。明治17年(1884年)には、自由民権運動の流れをくむ「加波山事件」の舞台にもなった。

三合目駐車場から五合目までは舗装路が続き、そこから本格的な登山道となる。親宮拝殿、たばこ神社を経て山頂の本宮へ至り、帰路は丸山、一本杉峠を経由して駐車場へ戻る周回が基本だ。五合目から上には急登があり、巨岩・奇岩の連なる山頂付近では足元への注意が欠かせない。山中には加波山事件の石碑や旗立石も残り、歴史をたどる山歩きにもなる。標高の低さに反して、行程は休憩を含め5時間近くに及ぶ。入門者にとっては、やや歯ごたえのある山である。ストックを持ち、時間に余裕を持たせた計画が望ましい。山頂付近では筑波山の双耳峰を望める。下山路には泥濘や渡渉の箇所があるため、地図での確認と慎重な足運びを怠らないようにしたい。冬の山行の様子は、山岳紀行「加波山 ー 天狗の山、冬晴れの参詣路」で紹介している。

岩場では手を使う場面があるため、グローブがあると安心だ。出発は午前8時台までには済ませ、登りに時間がかかった場合の引き返し時刻をあらかじめ決めておくとよい。筑波山のような賑わいは少なく、静かな山歩きを求める人には好ましい環境だが、そのぶん万一のときに助けを得にくいことも意識しておきたい。

⚠️ 注意:下山時の落ち葉の斜面や泥濘、渡渉箇所は滑りやすい。日没までに十分な余裕を持って下り始めたい。

✅ ポイント:信仰の山であるため、社殿周辺では静かに行動する。経験のある同行者がいるか、他の低山で経験を積んでからの挑戦が望ましい。

♨️ 下山後:筑波山温泉「つくば湯」(つくば市筑波)が候補になる。笠間方面では、道の駅かさまに立ち寄る手もある。また、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された桜川市真壁の町並みも近い。食事は、桜川市真壁の「たかはし」が手頃で、蕎麦やうどんに肉入りおにぎりを添えて楽しめる。石臼挽きの十割蕎麦を味わうなら「いきいき里山 友蕎庵」だが、予約が必要だ。

④ 筑波山(つくばさん)― 万葉の双峰、日本百名山

基本データ
標高:女体山877m、男体山871m
コースタイム:白雲橋コース(筑波山神社〜女体山)登り約110分、下り約95分
おすすめ登山口:筑波山神社(周辺の駐車場を利用。梅林の民間駐車場は300円)、ケーブルカー利用の場合は宮脇駅
アクセス:つくばエクスプレス つくば駅から筑波山シャトルバスで約40分
ベストシーズン:通年(新緑と紅葉の時期が特に人気)

総合評価
歩きやすさ:★★★☆☆
眺望・景観:★★★★★
歴史・文化:★★★★★
アクセス:★★★★★
下山後の楽しみ:★★★★☆

筑波山は、男体山と女体山の二つの峰を持つ「万葉の双峰」であり、日本百名山の中でも標高が低い部類に入る。関東平野の端に独立してそびえるため、山頂からの眺望は抜群だ。条件がよければ、霞ヶ浦や遠くの山並みまで見渡せる。

最も歩きごたえがあるのが、筑波山神社から女体山へ向かう白雲橋コースである。登山道には弁慶七戻り、母の胎内くぐり、高天原など、奇岩怪石の見どころが続く。標高差は約610m、登り約110分と、入門者には手応えのある行程だ。体力に不安があれば、ケーブルカー(乗車約8分)で山頂付近まで上がり、御幸ヶ原から両峰を巡る歩き方もある。つつじヶ丘からのおたつ石コースは、登り約40分と最も易しい。同じ筑波山でも、コースによって難易度は大きく異なる。

目的別に整理すれば、初めての人はおたつ石コースかケーブルカー、登山としての充実感を求める人は白雲橋コース、男体山を最短で目指す人は御幸ヶ原コースという選び方になる。御幸ヶ原コースは登り約90分で、傾斜と岩場がある。人気の山であるため、週末は登山道が混み合い、狭い岩場で行列ができることもある。時間に余裕を持ち、譲り合って歩きたい。

✅ ポイント:ケーブルカーは季節により運行時間が変わる。最終便に合わせて下山計画を立てたい。女体山付近の岩場は、雨の後に滑りやすい。

白雲橋コースで女体山へ登り、御幸ヶ原を経て男体山へ、御幸ヶ原コースで戻る周回は、休憩を含めて6時間を超える。冬晴れの日には、山頂から富士山や関東平野を見渡せる。山岳紀行「筑波山 ー 万葉の双峰を訪ねて」で詳しく紹介している。

♨️ 下山後:山麓の筑波山温泉「つくば湯」は、展望露天風呂とサウナを備える日帰り入浴施設である。参道には土産物店や飲食店が並ぶ。食事は、筑波山神社近くの「神田家」でつくばうどんやつくば鶏そばが名物で、「筑波山 むらさき」では関東平野を望みながらつくば蕎麦を味わえる。つくばうどんは、つくね、黒野菜、バラ肉を載せた一杯とされる。

⑤ 八溝山(やみぞさん)― 茨城県最高峰の周回コース

基本データ
標高:1,022m
コースタイム:旧参道〜日輪寺の周回 約2時間(約5km)
おすすめ登山口:八溝山日輪寺駐車場(ほか八溝林道口駐車場)
アクセス:常磐自動車道 那珂ICから車で約1時間30分(東北自動車道 矢板ICからは約1時間20分〜1時間30分)
ベストシーズン:10月下旬〜11月中旬(紅葉)。3月中旬までは積雪があり、軽アイゼンが必要

総合評価
歩きやすさ:★★★★★
眺望・景観:★★★★☆
歴史・文化:★★★★☆
アクセス:★★☆☆☆
下山後の楽しみ:★★★★☆

八溝山は、茨城県大子町と福島県棚倉町にまたがる県最高峰であり、八溝山地の主峰でもある。山頂には八溝山神社と日輪寺があり、古くから信仰を集めてきた。

日輪寺駐車場から旧参道を登り、周回して戻るコースは約5kmで、道は明瞭で傾斜も緩い。1,000mを超える山でありながら、体力的な負担は小さい。山頂の展望台からは、那須連山や日光連山、阿武隈山地などを大パノラマで一望でき、晴天時には富士山も見えるとされる。山中には「名水百選」に選ばれた八溝川湧水群があり、金性水、鉄水、龍毛水、白毛水、銀性水からなる「八溝五水」が点在する。この五つの名は、水戸黄門こと水戸光圀公が命名したと伝わる。なかでも金性水は、おいしい水として評判が高い。標高が高いぶん、市街地より気温が低い。秋は防寒着を一枚足したい。

紅葉の最盛期は10月下旬から11月中旬とされ、この時期は登山口の駐車場も混み合う。山間部の道路は幅が狭い区間があるため、運転には注意したい。県境の山であることから、天候によっては山頂付近で霧が出やすい。展望を期待する場合は、天気予報に加えて、当日の雲の動きにも気を配りたい。周回コースとはいえ、分岐の多い山域であるため、地図の携行は欠かせない。

✅ ポイント:山頂近くまで林道が通じるため、歩く時間は短い。登山口までの運転時間が長く、早朝出発が基本となる。

♨️ 下山後:大子町には袋田温泉があり、袋田の滝観光とあわせて楽しめる。奥久慈しゃも、常陸秋そば、奥久慈りんごなど、地場の味覚も豊富だ。食事は、「食事処 鄙の庭きん彩」でゆばカツ定食や奥久慈しゃもの親子丼が楽しめる。袋田の滝に近い「昔屋」では、けんちん蕎麦が名物だ。

まとめと次のステップ

5座はそれぞれ、神域、縦走、修験、百名山、県最高峰と、まったく違う表情を持つ。標高順に並べたが、歩きやすさで見ると、八溝山の周回や御岩山が最も易しく、加波山が最も歯ごたえがある。

低山登山の価値は、標高の高さではなく、一座ごとに得られる学びの深さにある。信仰の歴史を知る、尾根歩きの要領をつかむ、岩場での三点支持を身につける。それぞれの山が、異なる技術と視点を教えてくれる。まずは自分の経験に近い一座から歩き始め、無理のない範囲で次の山へと進んでほしい。

登山口までの移動や下山後の入浴まで含めて一日を組み立てると、山行の満足度は大きく変わる。コースタイムだけでなく、出発時刻、昼食の場所、帰路の渋滞といった要素も含め、余裕のある計画を立てたい。

✅ 5座の選び方ガイド
① 御岩山(約530m):往復1.5〜2時間。神域の静けさを味わう最初の一座
② 高鈴山(623m):御岩山からの縦走で尾根歩きを体験
③ 加波山(709m):修験の山。5時間近い行程で、経験者向け
④ 筑波山(877m):コース選択の幅が広く、ケーブルカーも使える
⑤ 八溝山(1,022m):周回約2時間。登山口まで遠いが歩行は易しい

おすすめのステップアップ順:御岩山 → 高鈴山 → 筑波山(おたつ石コース) → 八溝山 → 筑波山(白雲橋コース) → 加波山

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次の一歩としては、鎖場や岩場を含む「奥久慈男体山」(大子町)が候補になる。5座で培った基本技術を、より険しい山へ生かす段階といえる。登山の技術は、実際のフィールドで深まる。この記事が、茨城の山への第一歩の一助となれば幸いだ。


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北村智明
北村智明
登山ガイド
日本山岳ガイド協会認定登山ガイドステージ2。ガイド歴10年。東北マウンテンガイドネットワーク及び社会人山岳会に所属し、東北を拠点に全国の山域でガイド活動を展開。沢登り、アルパインクライミング、山岳スキー、アイスクライミング、フリークライミングと幅広い山行スタイルに対応。「稜線ディープダイブ」では、山行の記憶を物語として紡ぎ、技術と装備の選択を語る。
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